2008年11月15日土曜日

第8回モノとイメージその2

前回のWS18<顔の見立て>の発表会つづきから
見立てた顔の性質やその人となりのキャラクターを想定する。次に、そのなんらかの関係のある相手をつくる。二人の関係は?とストーリーが芽生えてくると、、、。ストーリーは、異質なものや思わぬものが出会うところから生まれやすい。それぞれの顔の画面を組み合わせていろんなストーリーあそびをしてみても面白い。




見立てと描写;すでにあるものを別の観点から眺めることでイメージを生みだす。一方、描写は対象のイメージを見て描きだす。見ることとイメージをあらわすことの微妙な差異がある。
知覚像と想像の差異ともいえる。また、すでにあるものを<切り取る>写真と、白紙の画面に移し出す写生との違いというのも重なってくる。
見立てることは、見方を自由に広げてくれる。なによりもこどもの目線を気づかせてくれるといえる。


WS19 オリジナル積み木をつくる


まずは、木切れを切ったりして小片をつくり、サンドペーパーでみがく。滑らかにすべすべしていく木の表面の変化を味わって。香りもただよってくるかも。
一人5個ほどの小片をつくる。あえて積みにくい不定形がおすすめです。
まずは、木の感触の変化を楽しんでください。

2008年11月8日土曜日

第7回11月7日モノとイメージその2


今回は色紙を使っての展開。
色は、モノとイメージにどのように関わるのか?
WS17 色を見つめる
前回の色の生理的な知覚現象の再確認から。
1色の残像、対照効果;30秒ほど選んだ色紙を見つめ、白紙を見つめる。
2色の場合の変化;二色を重ねた部分を見つめ、一枚目をはずし、二枚目をはずす。それぞれの変化を知覚。


WS18 顔の見立て;キャラクターとその相手
前回のモノでつくったキャラクターのプロフィールをもとに、色紙で顔をつくる。
手順;17色セットの色紙からキャラクターにあう色5色選ぶ。
次に、選んだ色紙を四つに分ける(手でちぎる、ハサミで切るなど)。全部で20のピース。
このピースをもとに顔をつくる。*色鉛筆で多少のお化粧することは可。
最初のプロフィールの顔と画面の裏側には、その相手を想像し二人の関係を想定してもう一人の顔をつくる。その人のプロフィールを同様に書き込む。



2008年10月25日土曜日

第6回10月24日STEP2<モノとイメージ>その1


<モノとイメージ>のテーマは、あるという存在感や物質感、触覚的に知覚できるものと視覚的な目に映る表象といったイメージとの遷りについて感じ、考えてみる。手で知覚できるものから目で知覚することの相違や差異はなんだろう。発達的には触覚から視覚へと広がっていくが、それはどのような変化をもたらすのだろうか。この単元では、モノという存在と表象というイメージ(思い描く像)の関係を巡ってみよう。
まずは<色>から。色はモノとイメージのどちらに属するのか、それとも別のなにかだろうか。
それぞれの色をテーマに、身の回りのグッズを持ち寄る。
カラースペクトルの順に並べてみる。
赤ーオレンジー黄ー緑ー青ー紫の順、明るいと暗いを上下に。
三原色、色相、明度、彩度などの色の属性。
残像効果を試してみる。約30秒ほどグッズをみつめた後、白い紙をみつめるとどうなるか。
固有色と反射色、材質の違いと色味、など。身近なもので色を観察。

WS15 並べる(配置と秩序)
B4画用紙のうえに、5つの身の回りのグッズを並べてみる。そのときになんらかの秩序を与えなさい。
5つのモノの関係を意識してみる。

WS16 顔に見立てる
5つのモノで顔をつくり、そのキャラクターをイマジンする。
キャラクターは、年齢、男/女、趣味、好き嫌い、性格、家族、職業、など、など、できた顔の表情から勝手にイメージを拡げてみよう。

2008年10月17日金曜日

第5回17日STEP1<かたちときもち>その4

きょうは、<うつす>をテーマに「かたちときもち」の関係を感じ、考えてみる。
準備;半紙、パス類、色鉛筆、等


WS13 フロッタージュ;教室およびその周辺からいろんなものを擦りだしてみよう。

凹凸のある表面を擦ることで、手の運動系と触覚感、そして視覚の効果などを味わう。
同じものを色を変えて擦りだしてみる。

少しずらして見て擦りだす。
違う表面を重ねて擦りだす。
パス、色鉛筆と描画材の変化で擦りだす。

色を変えて、重ねてみて、手で直接擦ってみて、など、遊び心一杯に試してみよう。


WS14 コラージュ;B4画用紙にフロッタージュした半紙を切り貼りして画面構成を試みる。
まずは、画面に触発されるがままに切り貼りしてみる。

形に添って切り出す。部分を集める感じで切り貼り。

同じ色合いでもテクスチャーの違いを。

出来たものを鑑賞。


<かたちときもち>の相互の関係について、各種試みてきました。どんなことを感じ、考え、思ったでしょうか。
<かたち>になる過程には、いろんなことが見え隠れしてきます。
ステップ1は、身体全体で感じることをベースに、手と道具、材料の性質などに気づいてほしいと思います。手と道具の間をつなぐものには、運動系と神経系、触覚や視覚、そして聴覚といった多様な感覚が混在します。
<うつす>行為には、映す、写す、移す、といろいろな意味合いが含まれてきます。
フロッタージュは、ある種写真の原型です。その形には、実在という感覚知覚されたモノの実感が裏打ちされているからです。それらが、表象という視覚像へとかたちを遷していくには、複雑な経路が介在します。
「かたち」になっていく過程は、「きもち」が意識される過程でもあります。

次回からは、ステップ2として、「モノとイメージ」をテーマに、具体物から私たちは何を感じ、またどのような見方や関わりが生まれるかを扱います。
来週は、色を一色決めて、身の回りのモノ三つほど持ってきてください。
例)赤;赤い財布、赤い表紙の本、赤いスカーフ、など、といった具合です。
選ぶ色は、自由ですが、複雑微妙な色よりもできるだけわかりやすい単純な原色や純色がしやすいと思います。どんなものが集まるか楽しみです。

2008年10月11日土曜日

第4回/10月10日STEP1<かたちときもち>その3

前回の<ws四角を描く>の振り返りから;廻し描きすることで気づくこと。
画面をつくろうとするよりもリズムや身体の描く動きが意識される。
画面を通じて会話をしてるようで他者との応答、リアクションが意識される。
何よりも絵が下手でも楽しく参加できる。
最後に塗るのが描くのと違った感触を感じた。


今回は、筆と墨で道具や描き方がどのようにきもちとかたちに影響を与えるかを体験してみる。
ws9 立て描き
まずは、筆の持ち方から名前をひらがなで半紙に自由に書く。
筆の筆触や手の動きをいろいろ遊んでみる。
筆が紙と触れる先っぽの感触を得るために半紙を左手で持って<立て描き>をしてみる。

相手に半紙を持って支えてもらって。裏から見ると筆の動きがよくわかる。
ここでは、「書く」よりも「描く」を意識して。手の動きがきもちを動かすように頭を刺激する。

ws10 目の動きを筆に伝える
;コンタードローイング 目の動きを意識するために指差しをしてみる。片目でゆっくり指先をなぞるように動かしていく。

画面を見ないで目の動きに沿って筆を動かしてみると。

ws11 手と筆のあいだを伸ばしてみる
;<テンション・ドローイング>と命名。(倉科勇三さんのwsからヒント)

1mほどのヒゴに筆をテープで止めて描いてみる。ままにならない身体の動きにイライラ感がつのってくる。そんなときは、幼児のなぐり描きを思い出そう。
まずは叩いて、叩いて、ぶらぶら揺らして、揺らして。振って、振って、と頭を空っぽにして身体と手の動きに身をゆだねてみると。

ws12 ローラーで描く

アルミ線でフリーな線をつくる。ローラーに墨をつけて半紙にうつす。


次回は、<うつす>;写す、映す、移す、、。

2008年10月3日金曜日

第3回/10月3日STEP1<かたちときもち>その2

WS6線を引くと塗るの差異(つづき)
画面全体にパスで描いた上に、色を変えて塗る。

最初はパスでやわらかく塗ると画面の凹凸が浮き上がってくる。
さらに画面に塗りこんでいってスクラッチの下地をつくる。
塗るという感触は、線を引くのと違って「なぜる」、「こする」といった触覚的な肌触りや手の動きを感じる。かくという手の動きの変化や画用紙の厚みややわらかさ、弾力といった手を動かす抵抗感のようなものを感じられるだろうか。

次に、硬いもの(ヒゴを使用)で表面を引っ掻いてみる。その感触。

引っかいた線をパスで上描きしたり、こすったりすれば何度も引っかくことができる。
ここでは手の赴くままにラクガキしてみよう。



WS7 字を書くと線を描くのあいだ(線をかく導入練習として)
B4画面を横位置で4段に
第1段に、なまえをひらがなで横幅一杯に(目で測りながら)書く;文字を書く動きと左脳の意識
2段目に、文字と運筆の動きすべてを画面から筆記具を離さないでなまえをかく;文字と手の動きの線の同居、左脳と右脳の混乱
3段目、文字の形よりも手の動きや線の抑揚、かくスピードや変化などを意識してすばやくサインするようにいっきに描く;線で文字を書くから、手の動きやきもちの線を描く(読めなくとも構わない)
最後の4段目では、四拍~五拍のリズムでいっせいに描いてみる


ひらがなはどのようにしてできたのか? <あ>←<安>

WS8 四角を描く(4人グループで1分間ごとの廻し描き)
画面に色鉛筆で四角を自由に描く。1分間描いたら画面を隣の人に廻して、四角を描き加えていく。

一巡した最後は、自由な色で任意の線で囲まれたところを塗ってみる。
ここでは、意識的に四角形というかたちに特定することで、かく=手の動きを導入。
どんな画面ができるのだろうか。
次回につづく

2008年9月27日土曜日

第2回/9月26日 STEP1<かたちときもち>その1

「きもち」を「かたち」にあらわす線をひく
 引かれた線の「かたち」から「きもち」を沿わせてみる
 ここでは、きもちとかたちのかかわり方にどんなことに気付くのか意識を巡らしてみる。



WS4 息を吐く―吸うを線にあらわす
 B4画面の横軸に時間を、息を吐く―下降線を、息を吸う―上昇線を
最初は、自然体で呼吸に沿わせて線を引いてみる。
次に、呼吸のリズムや吐くから吸うの変化、呼吸の深さや速度など意識的に変化をしてみて、それらを手の動きと連動させてみよう。
最後に、呼吸に合わせての線から線の動きに合わせて呼吸をやってみよう。それぞれを同じ画面に色を変えて重ね描きしてみる。どのような線が引けるだろうか。



 WS5 水平線をひく
 B4画面の横位置で、上下天地の二本の線を引く。それも普段使わないほうの逆手で。(色鉛筆)
次に天地の間に目で見て真ん中の線を引く。
順次、引いて出来た間の真ん中を線で引いていく。間が狭まって線が引けなくなるところまで引いていく。途中、随時、色を変えていく。
ここでは、線と線の間を埋めていくことできもちがどのように変化するだろうか。線を引くという単純な繰り返しの行為が体感覚にどのような変化をもたらすのか。そのときの呼吸はどうだろうか。筆圧や線を引く速度、線の濃さ、かすれ、ふるえ、線の太さ、など、など、どんなことに気づくだろうか。
最後に、画面全体を見て浮かんだことばを画面に書き入れてください。



 

 WS6 線を引くと塗るの差異
 B4画面にパスを用いて画面全体に自由に線を引く。とりあえずは、選んだパスを全部使い切ってしまいます。線は自由に引いて構わないが、塗るという意識ではなく引くというきもちで画面全体を覆いつくす。(以降は、次週へつづく)



2008年9月19日金曜日

第1回授業オリエンテーション

身体感覚に基づく造形表現
第1回 9月19日授業記録;オリエンテーション
授業概要別紙の説明、解説
 はじめに;アートはハートの<きもち>を<かたち>にする行為。
<かたち>にすることで<きもち>に気付くと同時に相手との交流(コミュニケーション)が生まれる。
<かたち>を通じてのお互いの想像の場が発生してくる。
<ことば>はリアクティブな<かたち>の一つ。
<かたち>は、FORM(形式、形態)。
<きもち>は、身体で感じることから生まれる。FEEL(感受、感性、感覚・知覚)。
to Feel、と to Form の交感。その過程で気付くことto Find にこの授業のねらいがあります。
どんなことを気付くかは、それぞれのお楽しみです。皆さんがそれらを共有することで大きな財産になると思います。

<からだときもち>、<ものとイメージ>、<ことばとアイデア>の各ステップの意義付け
step1 <からだときもち>では、五感をもとに身体全体で感じることを自覚すると同時に拡げ深める体験をもとにきもちの動きを知覚することで表現の発生を体験する。
step2 <ものとイメージ>では、具体的な土、木、石、紙、紐、塊、などものとかかわることでイメージが発生し、また変容するさまを体験する。見立てやイマジネーションの生成を感じ考えてみる。
step3 <ことばとアイデア>では、ことばの象徴性から想像性、ストーリーの発生から発想の過程を体験する。ことばは声に通じ、声は話し、語り、意識化、概念化、そして想像、計画とアイデアの源泉を感じ考えてみる。

導入として;身体感覚による気づきの導入として以下のワークショップ(以下WS)を行った。
WS1 古新聞紙を破らないように注意してできるだけ柔らかく揉み解す。
 ;どんなことに気づいたか?/柔らかい、別のものみたい、布のようだ、和紙みたい、/縮んだ、伸び縮みする、/気持いい、(包まれて)寝たい、ボーっとなれる、/手にインクが付いた、/その他


WS2 新聞紙を楽器に見立てていろんな音を出してみる
各グループで歌を決め演奏発表する/「かえるのうた」、「チューリップ」、「めだかの学校」、など
新聞紙を揉んだり、丸めてたたいたり、ひっぱったり、破ったりと、いろんな音が生まれた。さらに歌に合わせて合奏するとリズムや表情、音色など、即興的なグループ発表でしたが愉しい表現が生まれました。



WS3 残りの新聞紙でできるだけ高いタワーをつくる。制限時間は10分
グループワーク。限られた条件で目的に対してどう感じ考え解決策を見出すか。それぞれの方法で文字通り手探りでの応答でした。





ART は、HEART のかたち付け。HEART-HEART- とつなげるとEARTH 地球が見えてくる。身体で地球を感じることはアートの基本。地球は私たちをシャボン玉のように包み込んでおり、身近な息、熱、重さ、生き物、風、天気、季節、などなど足の裏や肌の身体全体で感じることが出来る。アートは、クリエイション=創造行為といわれるが、はたして何を創造するのですか?創造とはどういうことですか?この問いは、授業の課題です。各自、授業を通じてこの問いを深めて自らの解を探してください。